このチャンス逃してなるものか!

ママがね,お仕事に行きたいんだって.Tちゃんももう幼稚園だし,大丈夫だよね」

お〜っ,このチャンス,逃してなるものか!

その日のうちにハローワークに出かけて,求職の申し込みをしてカードをもらい,さっそく検索システムで仕事探しをスタートしました.

30代の子育て主婦で,ほとんど何の職歴もない私.簡単に仕事が見付かるなんて思ってはいないけれど,気分屋の夫がいつ何時,「パートなんて行かなくていいんじゃない?」と言い出さないとも限りません.そのためにも,まずは動いて既成事実をつくっておきたい.

家のパソコンで履歴書をつくって,昔のスーツを引っ張り出して,駅前で証明写真を準備して・・・

さっそく希望の仕事を見つけて・・・

「あの,この仕事,応募してみたいんですけど」
「30人ぐらい応募があるみたいですけど,どうしますか?」
「あの,この仕事,応募してみたいんですけど」
「あ〜,決まっちゃいましたか・・・」
「あの,この仕事,応募してみたいんですけど」

こんなやり取りを繰り返すこと何回目だったか,

「あの,この仕事,応募してみたいんですけど」
「あ,聞いてみますね」とすぐに電話をしてくれて,
Kさん,エクセルはできますか?」
「はい,前の仕事で使ってましたから,割と得意です」

しばらく、担当の方と会社の人の話しが続いて・・・・

じゃぁ,すぐに応募してもらいますんで,よろしくお願いします」
時給はちょっと低めだったけれど,自宅から1駅で通えて,月水金はフルタイム,火木は午前中だけ.厚生年金も加入してくれるっていうし・・・
その日のうちに書類を送ると翌日には電話があって,その次の日には面接に・・・

ガッチガチに緊張して会社を訪ねると・・・

別に工場があるので全体ではそれなりに人数がいるようなのですが,私がお世話になる本社部門には,「専務」と呼ばれる方とベテランの経理のおじさんと,おじいさんと呼べるぐらい年配で,最初は何をしているかわからなかったけれど,実は部品のプロだったという方が数人いるだけ.

へぇ・・・なんか,思ったよりもうんときれいだし,とても落ち着いた感じだし・・・

耳障りにならない程度に音楽が流れていて,事務所のなかはとても静か.大きな打ち合わせテーブルに案内され,履歴書を確認しながらサクサクと面接が進み,仕事の説明が始まりました.

エクセルでこんな感じで,在庫の管理と出荷の管理,請求書をつくって発送してもらうのが主な仕事です.顧客の管理や入出金の・・・」
さらに細かい事務仕事の説明が終わると,
「Kさんは,運転免許はお持ちですか?」
あ,はい・・・あまり運転はしないのですが・・・」
うん,大丈夫です.そうしたら,時々,納品の手伝いもしてもらうかもしれません」
「はい,わかりました.大丈夫だと思います」
いつから出社していただけますか?」
来週からでも・・・」
「じゃぁ,最終の選考をして早めに連絡します」

これなら私でも何とかできそうだし,通勤も便利だし,時間もちょうどいい感じだし,柔軟に調整してくれるるっていうし・・・決まるといいなぁ・・・
夕食の買い物を済ませて家に帰ると,

ほどなく携帯に連絡が

あの,採用させていただきたいと思います.正式な採用条件書はすぐにお送りしますので確認しておいてください.さっそくですけれど,来週の月曜日から来ていただけますか?」

トントン拍子の展開に驚きながら,帰宅した夫に「仕事,決まったんだよ」と報告しても,「へぇ.で,いつから行くの?」とほとんど無関心.あまり気にされるよりも,気楽でいいんですけどね・・・

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